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切絵について

 

切絵はシンプルでありながら奥深く、伝統技術でありながらモダンな雰囲気を持ち、繊細でありながら大変力強い存在感を放つ、とても魅力的な世界です。こちらでは、そんな切絵の歴史や文化、魅力について、専門的な事や豆知識等も含めて御紹介していきたいと思います。

 

染色型紙としての切絵

 

様々な伝統文化に関わりをもつ切絵ですが、日本では着物染めの型紙としての職人技であったことは広く知られています。紅型→伊勢型紙→江戸小紋 と、都にわたるにつれてその模様もどんどん緻密になっていくのですが、江戸時代では、模様が細かければ細かいほどファッショナブル!だったのですね。

 

以前紅型教室に参加させて頂いた事があります。型紙は大柄で味のあるものが多く、染めの作業は紙の抜き部分にノリをのせて布地の型抜き部分が染まらないようにし、染めの色を選んで重ねていきます。これがまた時間がかかります。江戸小紋を染めようとなると、その手間は想像もつきません。一つの着物が仕上がる過程の型抜きから染めまで、いかに手のこんだ作業であるかがわかり、伝統工芸の貴重さを感じました。

 

型抜きに使われる型紙は渋紙といって、生産技術が減っていく時代ではこれもまた貴重な品になっています。量産化が劇的に進む現代において、こうした貴重な伝統が守られていく為に私たちが出来る事は何かを考えさせられます。

光と切絵

 

切絵の魅力の一つに、光との相性の良さがあります。光を通して切絵を見た時に、今まで主役であった輪郭線が影となり、空白の部分がその役割を受け継ぐ。光も影も主役なのです。

 

バリの伝統的な人形の影絵劇、ワヤン・クリでは、皮で細工された人形や背景等に美しい切り模様があります。観客は両面から人形そのものの模様も、影絵としても楽しむ事が出来るように作られています。

 

冬が長く寒いロシアでは、雪の結晶の折り切絵が古くから親しまれています。古代ロシアの白樺の透かし模様の皮細工がその由来と言われていますが、紙で出来たとけない雪の結晶を窓やランプシェイド等に貼り、日常の楽しみにしています。

 

このような絶妙な持ち味は、どの分野にも見られない表現で私たちを魅了します。切絵が広く深く、世界中で愛されている大きな理由なのではないかと思います。

手作業?機械?

「切り絵は手作業ですか?」とのご質問をよく受ける事があります。アトリエタンタンでは、オリジナルを手作業、商品やデコレーション等で大量に切り絵を扱う場合には機械を用いています。

機械はカッティングマシンとレーザーマシンの2通りあります。カッティングマシーンではより手作業に近いオリジナル感を出す事が可能になります。レーザーマシンでは、より細かいディテールのカッティングが可能となります。

味わい深いのは勿論手作業です。

手作りを希望される方や、プロダクトデザインや広告デザイン等、一からデザインを起こして行く企画では、手作業を

​中心とした制作を行っております。

切り絵の発祥の地

 

切り絵の真の歴史は、中国だと思われている方が多いようですが、実はインドにあります。

「透かし彫り」の工芸品は古くからどこの国でも見られますが、昨今見られるような細かい細工・絵柄の切り絵は、インドで切り絵で出来た型紙に砂をまぶして、型紙を抜くとそこに砂でできた繊細な模様が浮かび上がり、それを神聖な祈りの儀式として使っていたことから始まりました。

(日本でも、宮崎県高千穂町で魔除けの神事としても使われていることから、切り絵が醸し出す神聖な雰囲気から、多くの地域で、そこに神が宿る、と考えられていたようですね。)

 

さて、インドから始まった切り絵は、中国からシルクロードをわたりヨーロッパへとわたります。

海をわたり、日本へも上陸するわけですが、そこで、先述した「沖縄紅型」となり、伊勢型紙や江戸小紋等、私たちが知る着物の初め型紙となっていきます。そうした流れから、沖縄紅型では、黄色や朱等が多く使われており、中国文化を思わせる色合いとなっています。

 

多くの歴史を持つ切り絵は、奥深く、普遍的な美をもち、いつの時代も人を魅了し、多くの国々で「伝統工芸」としてその国なりの進化を遂げながら、脈々と受け継がれているのです。

 

アトリエタンタンですは、デザイン性、美しさの視点だけでなく、そうした歴史的背景を含め、文化的、伝統技術の観点からも、切り絵の素晴らしさを国内外にて発信して参りたいと考えております。

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